アトピー性皮膚炎や食物アレルギーの子供が年々増えていますが、実は生後すぐからのスキンケアを徹底することでアレルギーの発症を予防できる可能性があるこということをご存知ですか?
今後出産を控えている方には、ぜひ赤ちゃんが生まれる前から知っておきたいベビースキンケアの重要性や、肌トラブル時の対処法をご紹介します。
大人と赤ちゃんの皮膚の違い
赤ちゃんの表皮は大人の約1/2と薄いため、乾燥や紫外線、ホコリ・花粉・化学繊維・大気汚染物質など様々な刺激要因の影響を受けやすく、皮膚のバリア機能も弱いため、アレルゲンも侵入しやすく、アレルギーの原因にもなりやすいんです。
実際に、現在では食物アレルギーの原因の約8割は「経皮吸収」とも言われており、特に傷や皮膚トラブルで弱っている部分からはアレルゲンが吸収されやすく、食物アレルギーの発症リスクが高まるので要注意。
その上、皮脂の分泌量は大人と変わらないため、乳児湿疹やおむつかぶれ、あせもなどの肌トラブルも起きやすいので、お肌を清潔に保ち、保湿し、UVケアを行うことも大切です。
アレルギーや肌トラブルを防ぎ、皮膚のバリア機能を強化するスキンケアのポイント
生まれてすぐは沐浴しない「ドライテクニック」
ドライテクニックとは、赤ちゃんの胎脂をできるだけ残すために、生後は皮膚についた血液だけを拭きとり、4~5日間は沐浴をしない方法。
胎脂とは母親のお腹の中で赤ちゃんを包んでいるクリーム状の脂のことで、ドライテクニックを行うことで、赤ちゃんの肌のバリア機能を守り、乾燥・感染などの皮膚トラブルを減少できるだけでなく、体温保持、沐浴による体力消耗の予防、生理的体重減少の抑制、黄疸の減少などにもつながると言われています。
もし産院を選んだり、バースプランなどを考える際には、ドライテクニックができるかどうかも視野の1つに入れておくと良いかもしれません。
肌を清潔に保つ
汗やよだれ、ミルク、尿、便などが残った状態では肌の刺激となり、肌トラブルの原因となってしまうため、まずは清潔に保つことが大切。
生後2〜3ヶ月頃までは皮脂の分泌が多いため、毎回沐浴の際に洗浄剤で洗っても良いかと思いますが、乾燥がある状態で洗い過ぎてしまうと、角質層の「バリア」や「保湿」を担っている物質まで洗い流してしまい、より乾燥肌・肌のバリア機能の低下が進んでしまいます。
乾燥肌の場合は、汗や皮脂の分泌が多い部位のみ洗浄剤を使用し、乾燥している部位は洗浄剤の使用を数日に1回程度にして、それ以外はお湯のみで洗ってあげると良いでしょう。
洗浄剤を使う場合にも、ゴシゴシせずに、なるべく泡をつぶさないような力加減で、摩擦しないように優しく、そして洗い残しがないように気をつけましょう。
沐浴以外にも、よだれやミルク、離乳食などで汚れやすい口まわりや手をこまめにガーゼで拭いてあげたり、おむつ替えの際におしり拭きでゴシゴシせず、なるべく優しく拭いてあげるようにしましょう。
洗浄剤を選ぶ際には、なるべく洗浄力が強い合成界面活性剤や肌の刺激になりやすい石油由来成分が不使用の、石鹸などの優しい洗浄成分や保湿成分が配合されているものがオススメです。
保湿をして、肌のバリア機能を補強する
生後すぐから入浴後などに保湿剤を塗って、肌のバリア機能を補強することで、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーの発症リスクを約3割〜5割防げるとも言われているため、入浴後はなるべくすぐに保湿をして、乾燥から肌を防ぎましょう。
アレルギー感作が起こりやすいミルク・離乳食が触れる口まわりや手、傷口・乾燥で肌バリアが弱っている部位は、特にこまめに保湿を心がけることで、アレルギーの予防だけでなく、よだれかぶれなどの防止にもつながります。
また、皮膚と脳は密接につながっており、肌と肌が触れ合うことで愛情ホルモンの「オキシトシン」などが分泌されるため、精神的な安定・社会性の構築などにもつながるため、保湿の際は赤ちゃんとの触れ合いを大切にするタッチケアやベビーマッサージなども良いでしょう。
おむつで蒸れやすいお尻まわりや、汗をかきやすい夏場などは、ボディパウダー代わりにホワイトカオリンなどのクレイを使用するのも、おむつかぶれやあせも予防になりオススメですよ♪
いざ肌トラブルが起きた時の対処法は?
軽い炎症・赤みであれば、抗炎症作用のあるメディカルハーブの「カレンデュラ」や「ジャーマンカモミール」などのスキンケア、漢方薬局で売っているような「紫雲膏(しうんこう)」や「スクアレン」などがオススメ。
なかなか良くならない肌トラブルの場合は、皮膚科受診を。
ステロイドの軟膏というと副作用が怖いという方もいらっしゃるかもしれませんが、もちろん長期使用は自前のステロイドホルモンを分泌できなくなったり、副作用も懸念されますが、短期間で使用する分には副作用の心配はほとんどなく、非常に効果的です。
肌トラブルがある際は、普段のスキンケアが刺激になる場合もあるので、なるべく成分がシンプルな「ワセリン」などに切り替えて保湿を行っても良いでしょう。
また、なるべく炎症につながりやすい食品を控えることも効果的です。(油物、食品添加物、白砂糖、人工甘味料、小麦に含まれるグルテン、乳製品に含まれるカゼインなど)
いかがでしたでしょうか?
ぜひお子様がいらっしゃる方だけでなく、これから出産を控えていたり、今後出産を考えている方の参考になれば幸いです。