ストレスの多い現代人は、生活習慣病や肥満、便秘、肌荒れ、アレルギー、原因不明の不調などでお悩みの方も多いのではないでしょうか?

また、食品添加物やトランス脂肪酸、農薬、薬品、環境ホルモン、マイクロプラスチック、大気汚染、放射能、重金属、遺伝子組み換え物質など、身近にはなるべく避けたい有害物質も存在しており、完全に避けるのは難しいため、健康な方でも定期的に「デトックス」の習慣を持つことがこれからは必須になってくるでしょう。

今回は、そんな多くの現代人に知ってもらいたいデトックス・体質改善方法の1つとして、「ファスティング」をご紹介します。

「ファスティング」とは?

「ファスティング」とは断食や絶食のことで、固形物の食事を取らないことで、消化器官を休ませると同時に、体内に溜まった老廃物を排出し、腸内環境を整えることを目的とする食事療法

欧米では「メスのいらない手術」とも言われていて、実際に日本国内でも、1968年に福岡県を中心に起きた「カネミ油症事件」の際の治療にも用いられ、神経障害で95.6%、皮膚障害で83%の改善率が認められています。

ファスティング中に体内で起こること

1.体内の栄養素からエネルギーを作る

ファスティング中は食事からエネルギーを摂取できないので、代わりに肝臓や筋肉に蓄えられたグリコーゲンからブドウ糖が作られ、グリコーゲンがなくなると、肝臓に一定量プールされていたアミノ酸からブドウ糖が作られます。

2.筋肉の分解

アミノ酸が尽きると、筋肉を分解してアミノ酸の形に変え、肝臓に送り込み、肝臓でそのアミノ酸を原料に作られたブドウ糖が血中に供給され、最低限の血糖値を維持しようとします。

3.脂肪組織の分解

脂肪は「グリセロール」と「脂肪酸」が組み合わさってできていますが、このうちの「グリセロール」が肝臓でブドウ糖に作り変えられて、体内でエネルギーとして利用されます。この際、脂肪に蓄積されていた有害物質が血液中に放出されて、体外に排出しやすくなります。

※このように脂質やアミノ酸など、糖質以外の物質から糖質を合成することを「糖新生」といいます。

4.脂肪酸の行方

脂肪組織が分解された際にできた脂肪酸は「糖新生」には使われず、肝臓に送られると「ケトン体」に作り変えられて、最終的にはエネルギーとして利用されます。ケトン体は脳波とも密接に関連しており、リラックスや集中力に関わる「α派」を増やすとも言われているため、メンタル面にも良い影響を及ぼします。

ファスティングの効果

1.毒素排出

食品添加物や重金属、環境ホルモン、マイクロプラスチックなどの毒素の多くは脂溶性のため、ファスティングで脂肪を分解する際に、体内に溜め込んでいた毒素を排出することができます。また、腸を休ませることで、腸壁に溜まった宿便が解消され、血液の質が良くなることでも、細胞内に溜まった毒素の排出を促します。

「出産は最大のデトックス」とも言われ、私達がこれまで体内に取り入れたものは、生まれてくる赤ちゃんにも影響するため、妊活中の方には特に妊娠前のデトックス習慣を持つことをオススメします!

2.免疫力アップ

免疫細胞の約7割が集まる小腸を休ませ、リセットすることで、免疫細胞そのものが活性化され、免疫力がアップ。アレルギーやアトピー、自己免疫疾患の改善にも。

3.体内酵素の活性化

ファスティングによって消化・吸収以外の代謝にエネルギーを使うことができるため、体内酵素を活性化させることができます。

4.むくみ改善

リンパ液に停滞していた水分や毒素が排出されることで、むくみも改善されます。

5.ダイエット効果

ファスティングによって余分な脂肪を分解することで、体脂肪や体重も落ちて、適正なプロポーションを維持できるだけでなく、血液もサラサラきれいな状態に。腸壁の機能が改善されることで、消化・吸収が促され、排便もスムーズになります。

6.臓器の休養

大腸や小腸などの消化器官を休めることで、解毒器官である腎臓や肝臓の機能を休められ、正常な働きに戻します。

7.心身の若返りのサポート

摂取カロリーを制限することで体内の「長寿遺伝子」のスイッチがオン状態になることが科学的にも解明されています。全身の細胞が再活性化することで、新陳代謝が促され、心身が軽く、生き生きとした印象に。

ファスティングの方法

1.間欠的ファスティング

夕食1食を置き換えたり、1日の食事を1食に減らす「プチ断食」など、1日の中で食べない時間を長くとるという方法で、比較的に手軽に行うことができます。

長い期間のファスティングに比べるとデトックス効果は穏やかですが、代謝アップや内臓の休息、血糖値やインスリンを下げることができ、継続して行うことで少しずつ体が変化していきます。

2.「準備1日+ファスティング1日+回復食1日」の3日間

週末3日間で行うファスティング方法。ファスティング前日はなるべく和食中心の食事を心がけて、夜20時以降の飲食は控えます。ファスティング当日はファスティングドリンクと水分のみで約1日過ごします。ファスティング翌日はお粥やスープなど、消化に負担のかかりにくい食事を口にして、食べ過ぎないように注意して下さい。

3.「準備3日間+ファスティング3日間+回復食3日間」の9日間

準備期間は和食中心で、腹7分目の食事を心がけて、ファスティング前日の夜20時以降は飲食を控えましょう。ファスティング期間3日間は、ファスティングドリンクと水分のみで過ごします。ファスティング期間が長くなるほど、体内のデトックス・浄化が進みます。ファスティング明けは「重湯→お粥+具なし味噌汁→お粥+消化に優しい食事」のように、徐々に消化器官をお休み状態から通常通りへと慣らしていきましょう。

ファスティングの注意点

ファスティングドリンクの選び方

水だけのファスティングでは栄養をとれず、体調を崩してしまう恐れがあります。また、スムージーも食物繊維が入っており、消化・吸収の機能が働いてしまうため、ファスティングには向きません。

できれば体に必要な栄養をとりながらも、液状で消化・吸収をお休みできるような、ファスティング用の「酵素ドリンク」や「コールドプレスジュース」などを選ぶことで、体への負担少なくファスティングに臨むことができます

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ファスティング中の水分補給

ファスティング中はコーヒーや紅茶、緑茶などのカフェイン入りの飲み物、清涼飲料水、お酒、タバコ、ガムやあめ、料理の味見などは控えましょう。ファスティング中は体が冷えやすいので、水分補給にはノンカフェインの温かいハーブティーや和漢茶、お白湯などがオススメです。

ファスティング中に避けたいこと

体力を消耗するようなハードな運動やサウナ、熱いお風呂への長時間入浴はなるべく避けるようにしましょう。また、普段摂取しているサプリメント・健康食品もファスティング中はお休みして、できれば回復食期間が明けてから服用を再開しましょう。

こんな方は要注意!

妊娠・授乳中の方、成長期のお子様、虚弱体質・体調の優れない方は、ファスティングを推奨できません。また、抗がん剤・ステロイドなどの薬を服用中の方、治療中の疾患のある方は、自己判断はせずに主治医や薬剤師に一度ご相談下さい。

ファスティング中に不調を感じた場合

ファスティング中に不調を感じた場合は、無理せず、途中でも中止しましょう。途中で中止する場合にも、回復食で徐々に食事を消化器官に慣らしていくことが必要です。

ファスティング中に起こりやすい不調に頭痛、眠気、集中力の低下、体のだるさなどが挙げられます。このような場合は、ファスティングドリンクを少し多めに服用したり、ミネラル豊富な塩を少量舐めることで改善されることも多いので、ぜひお試し下さい。

最後に

いかがでしたでしょうか?

「You are what you eat(あなたは食べたものでできている)」という言葉は有名ですが、どんなに良いオーガニック食材や効果なサプリメント・漢方薬を取り入れても、ちゃんと消化・吸収できていないと、体内で利用されることはありません。

「You are what you digest&absorb(あなたは消化・吸収したものでできている)」

ぜひ定期的にファスティングを取り入れることで、デトックスや胃腸を整える習慣を作るのはもちろん、普段の食事の際にも早食いせず、腹7分目を意識したり、消化・吸収を促すように、リラックスした気持ちで楽しみながら食事をするなどを心がけてみてはいかがでしょうか?

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この記事を書いた人
佐々木 貴美
ホリスティック薬剤師。国際中医師。Kindle電子書籍「健康美を手に入れて自分を輝かせるための15の処方箋」著者。調剤薬局・漢方専門薬局での臨床経験を経て、西洋医学だけでなく、中医学やアーユルヴェーダ、自然療法、美容、エシカルなどを融合し、「体の内側から健康で美しく、ハッピーに!」をテーマに活動中。

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