現在、世界の8億1100万人(10人に1人)が飢餓に苦しんでいる中、日本における食品廃棄物は年間1,535万トン、そのうちまだ食べることが可能な「ロスフード」は612万トンもあり、世界が援助している食糧の量の約2倍に相当すると言われています。
日本の食料自給率は38%、残りの62%を輸入に頼っているにも関わらず、これだけの量の食品が廃棄されているのはもったいないだけではなく、廃棄コストも約2兆円に及び、経済的にも非合理的な現状です。
そんな中、世界的ハイブランド 東京・銀座のアルマーニ/リストランテでは「ロスフード」メニューを打ち出しており、注目を集めています。
フードロスバンク協力のもと、日本中から味は良いものの、形が理由で廃棄されてしまったり、コロナ禍で出荷先を失った高級食材などが使用され、今年3月に初登場した時よりも更にパワーアップして、7月からはお魚料理もお肉料理も楽しめるダブルメインのコースメニューを楽しめるように。
メニューを見ただけでは、どんな料理が出てくるのか全く想像がつかず、ドキドキ・ワクワクが止まらない・・・!
ベーコンやブラックペッパーの効いたブリオッシュのパンや、シート状のパンを頂きながら、料理を待ちます。
アミューズでは、傷や変形が理由で出荷できない大根、今年の雨天の多さで綺麗な見た目に育たなかったことが理由で出荷できないズッキーニをトッピングに使用。
野菜のブイヨンとサフランで煮込まれた大根をカットすると、中からトロリとサフランクリームが溢れ出し、目でも舌でも楽しめる一品。
前菜には、サイズの不揃いが理由で出荷できないトマトを使用した、「現在風に解釈した」カプレーゼ。トマトを覆う真っ白な泡には、トマトの香りと甘味が漂い、泡の上にはブラーダチーズのジェラートがトッピングされ、今までのカプレーゼの常識が覆されます。
続いてはパスタ料理。
変形が理由で出荷できない赤ピーマンをスロージューサーで絞ったジュースをスパゲットに絡め、コロナ禍による飲食店の閉店により出荷先を失った天然の真鰯のマリネをトッピング。赤ピーマン本来の甘味が凝縮され、真鰯の塩味・酸味が見事にマッチした一品。
途中で頂いたフォカッチャとバケットはもちろんのこと、何よりもこだわりのオリーブオイルが非常に美味しかった。
続いてはお待ち兼ねのメインの2皿。
お魚料理では、コロナ禍の飲食店閉店で出荷先を失った高級魚の金目鯛、可食部ではない部分の傷や虫喰いで出荷できない枝豆を使用。
備長炭で香りを付けた香ばしい金目鯛に枝豆のソース、後がけのライム・コンソメのソースとの融合は、イタリア人シェフが手掛けたとは思えない、和食の繊細さも感じられる一品。
ロスフードメニューでは初の試みとなるお肉料理には、低温調理すると美味しいが、調理に技術が必要なため売れ残ってしまう「部位ロス」の熊本産 赤牛の肩・外ももを使用。2日間かけて丁寧に煮込み、口の中でほろっと崩れるような柔らかい食感。甘酸っぱい茄子のピューレソースを絡めることで、夏らしい爽やかで軽やかな味わいを楽しめます。
お口直しのプレドルチでは、酒粕とメロンを合わせたさっぱりとした一品。こんなにも美味しいのにも関わらず、メロンは網目が美しくなかったり、傷があると出荷できず、酒粕も日本酒の製造過程で生まれる副産物だが、ほとんどが廃棄されてしまうそう。
メインデザートは、煎茶とシトラスが使われた香り高い一品。(まさかの友人からの結婚祝いサプライズに、思わずびっくり!)
煎茶の製造工程で出て、通常は廃棄される粉末の茶葉(佐賀県産・嬉野茶)を、ゼリーとアイスパウダーに使用。また、小玉だったり、ヘタが取れて規格に満たない柑橘類も使用し、夏らしいさっぱりとした味わい。
最後はお口直しのプティフールとコーヒーを。
エグゼクティブシェフのカルミネ・アマランテ氏が自らテーブルまで来て下さり、ロスフードメニューへの熱い想いを語って下さり、イタリア出身の彼はヨーロッパのマルシェ文化が身近だったため、日本の見た目や形が少し悪くても、美味しい食材が捨てられてしまう現状に違和感を感じていたそう。
今回のコースに使用する食材も、アマランテ氏自ら、日本中の農家さんや生産者さんの元に足を運んで厳選した食材で、何度も試行錯誤を重ねた上で生み出すことのできた、味わいも、見た目の美しさも、コンセプトもスペシャルなメニューだとのこと。
今回のメニューは10月末まで展開予定。次のシーズンの「ロスフード」メニューは更にどんな進化を遂げるのか、今から目が離せません。
ARMANI/RISTORANTE GINZA
住所:東京都中央区銀座5-5-4 アルマーニ銀座タワー 10階&11階
電話番号:03-6274-7005
時間:Lunch 11:30-15:00 (L.O.14:00)/Dinner 17:00-20:00 (L.O.18:30)