エコやサスティナブル、エシカル、SDGsなどへの関心が近年高まっていますが、家から出る「生ごみ」に関して皆さんは考えたことはあるでしょうか?
エコフレンドリーな商品を購入するだけでなく、自宅でできるエコ・サスティナブルなアクションの1つとして、「コンポスト」の魅力についてご紹介します。
コンポストとは?
「コンポスト」とは、家庭から出る生ごみや落ち葉、植木などの有機ごみを、もみ殻などの基材が入った専用の容器(コンポスター)に入れて、微生物の働きを活用して発酵・分解させることで、「堆肥化」すること。
家庭から出るごみの約30%〜40%は生ごみとも言われており、これを資源化できればごみの減量に有効な上に、コンポストでできた堆肥は家庭菜園やガーデニングにも活用できるため、持続可能な循環型社会を目指す上でも有効です。
コンポストのやり方
コンポストの種類によっても入れて良いもの・悪いもの、熟成期間は多少異なりますが、基本的には生ごみを専用の容器(コンポスター)に一定期間入れて、定期的に中身をかき混ぜて、一定期間熟成させます。
一部の種類のコンポストでは食べ物だけでなく、落ち葉や雑草なども入れられますが、ほとんどの種類では食べ物だけを投入します。
貝殻はコンポストに入れるのがNGですが、それ以外の家庭から出る生ごみは基本的にコンポストに入れられます。
穀物類、魚のあら、木の実、カニ殻、天ぷら油かす、柑橘系の皮、脂身、海藻類、甘いもの、緑の濃い野菜などは、良質な堆肥を作るためのパワーアップ素材と言われています。
玉ねぎの皮やニンニクの皮、卵の殻は分解するのに時間がかかりますが、葉物野菜や果物などは比較的早く分解されます。
コンポストの種類
設置型コンポスト
庭や畑に穴を掘れるスペースがあれば、あとは埋めるだけで手軽に利用できて、維持費もかからないのがメリット。
「地上式」のものは生ごみのほか、庭の落ち葉や雑草なども入れられて、大量の堆肥を作ることができます。
いっぱいになったら2〜3ヶ月熟成させます。虫が湧きやすいのが欠点。
密閉型コンポスト
密閉した容器に生ごみとぼかし(米ぬかや発酵促進剤など)入れて発酵させる方法。
熟成期間は1ヶ月程度で、かき混ぜる必要がなく、良質な堆肥(液体)が大量にできて、虫が湧きにくく、持ち運びも便利なのがメリット。
ぼかしを購入する維持費がかかり、分解の途中でアルコールや酸が出て、酸っぱい臭いがするため、マンションや集合住宅では注意が必要なのが欠点。
ダンボールコンポスト
ダンボールに基材を入れて、生ごみを投入してよくかき混ぜるだけで、手軽に利用できて、安価で導入できるのがメリット。
熟成期間は3週間〜1ヶ月程度。
2〜6ヶ月おきに全交換が必要なため維持費がかかり、交換時にダンボールがごみになるのが欠点。
手動式生ごみ処理機、電動生ごみ処理機
機械に生ごみを入れて、手動でハンドルを回すか、電動で自動で生ごみを乾燥させて堆肥化するタイプ。
室内に設置できて手軽に利用でき、虫も湧かず、臭いも気になりにくく、短時間で堆肥を作れるのがメリット。
コストは比較的高価な上に、電動の場合は電気を使うため、環境負荷がかかるのが欠点。
ミミズコンポスト
ミミズと基材を入れた容器に生ごみを投入すると、ミミズが生ごみを食べて分解してくれるタイプ。
かき混ぜる必要がなく、手間がかからない上に、臭いも気になりにくいのがメリットですが、少量ずつしか生ごみを投入できなかったり、ミミズの好き嫌いで入れられない生ごみ(柑橘類など)があるのが欠点。
コンポストのメリット
ごみの減量につながり、環境・健康に優しい
コンポストを活用することで生ごみを捨てる必要がなくなり、家庭から排出されるごみが減ります。
冒頭でもお話したように、家庭から出るごみの約30%〜40%は生ごみと言われているため、コンポストを利用する家庭が増えることで各家庭からのごみの排出量が減ると、社会全体のごみ減量にもつながります。
また、ごみを焼却する際に水分の多い生ごみや草木ごみを焼却するには大量の燃料を必要とし、地球温暖化に影響のある二酸化炭素はもちろん、ダイオキシン等の有害ガスも発生するため、ごみの減量でそれらの有害ガスも減少すると、環境面だけでなく、健康面でもメリットが大きいと言えるでしょう。
無駄なコストがなくなり、経済的
ごみが減ることで、捨てる際のビニール袋やゴミ袋も必要なくなるため、購入する頻度が減るため節約にもなります。
また、自治体もごみの焼却処分にかかる手間や燃料、費用も減るため、その分の余った税金を有効活用することも望めるでしょう。
循環の輪が生まれるだけでなく、食育にもつながる
コンポストでできた栄養豊富な堆肥は、多様な栄養素を含むバランスの良い有機堆肥になり、家庭菜園やガーデニングに活用することができます。
余った堆肥は学校や農家、自治体など、地域にも還元することができ、有効活用されるだけでなく、場所によってはポイントや資材・野菜などを引き換えでもらえる場合もあります。
有機堆肥を使った土で育てた野菜は、味がしっかりしていて、甘みや香りも強く、美味しく安心して食べれられます。
また、堆肥づくりや家庭菜園を通して自然と季節を身近に感じることができるだけでなく、家庭菜園を通して野菜ができるまでの過程を学ぶことで、今までスーパーで野菜を買うだけでは気づけなかった食べ物への感謝の気持ちを養うこともできて、子供の「食育」にもつながります。
コンポストのマイナートラブル対処法
悪臭がある場合
コンポストの種類によって臭いのタイプが異なりますが、一般的に悪臭がする場合は、水分や生肉、魚類が多すぎる可能性が考えられます。
その場合は、生ごみの投入を2~3日休み分解を促すことで改善することが多いと言われています。
「密閉式」は、ふたを開けたときに独特の酸っぱい臭いがします。もし悪臭が発生した場合は、下からよく混ぜることで概ね改善すると言われています。
虫が湧いた場合
虫が出ることはもちろんありますが、対策をすることで防げます。
自分で容器や基材を用意する場合は、虫や卵が入っていないか確認してください。
コンポストにカバーをかけることで、外から虫が入ってくるのを防げます。
もしうじ虫が発生した場合は、米ぬかや天ぷら油、糖分を入れて分解を促し、温度をあげることで卵を死滅させることができます。
それでもまだ虫がいたら、コンポストの中身を全て透明のビニール袋に入れて、天日干しにすることで、日差しが強ければうじ虫は1日で死滅するため、虫がいなくなったら中身を容器に戻して、再開することができます。
最後に
いかがでしたでしょうか?
現在は、見た目もオシャレな「バクテリアdeキエーロ」や、手軽にベランダで始められるようなトートバッグ型の「LFCコンポスト」などもあるので、自分のライフスタイルに合ったコンポストを生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?
自治体によっては、コンポストの導入に補助金が出る場合もあるので、コンポストの導入を検討されている方は、まずはお住まいの自治体のホームページなどで情報を確認することをオススメします。