寒さが身に染みる今日この頃ですが、冷え性や痛みなどでお悩みの方も多いのではないでしょうか?

冷えによる不調や、風邪やインフルエンザなどの感染症を防ぐだけでなく、次の春を健やかに迎えられるように体調を整えるためにも、ぜひ心がけたい「冬の漢方養生セルフケア」についてお届けします。

冬に起こりやすい不調とは?

中国最古の医学書である「黄帝内経(こうていだいけい)」によると、冬は閉蔵(へいぞう)」といい、万物が静かに閉じこもり、活動が活発になる春に向けて力を体の奥に蓄えておく季節。この時期に夏場のように活発的に過ごしてしまうと、蓄えておくべき力を放出してしまい、寒さに熱を奪われて力を消耗してしまいます。

また、体の五臓の中でも、冬は「腎」の働きが弱まりやすい季節。「腎」は泌尿器・生殖器・脳・骨・髪の毛・耳などの機能を担い、生命力を蓄え、体内の水分代謝やホルモン分泌、免疫機能などにも関わります

「腎気(生命エネルギー、精気)」は腎陽・腎陰の2種類に分けられますが、量的に充実していることはもちろん、その2つのバランスも大切です。

体を温めたり、体を機能させる「腎陽」が不足すると、足腰がだるい、下半身が冷える、夜中トイレに起きる、おしっこの出やキレが悪いなどの症状が現れやすくなります。

逆に、体の潤いや栄養を担う「腎陰」が不足すると、皮膚の乾燥、口渇、のぼせやすい、目が疲れやすい、目がかすむなどの症状が現れやすくなります。

「腎気」の消耗を防ぎ、補う

「腎気・津液」の消耗を防ぐために心がけたいこと

なるべく無理なダイエット、過労、過度のストレス、夜更かし・睡眠不足、汗をかき過ぎるようなハードな運動などは避け、心穏やかに、規則正しい生活を心がけましょう。日が登ってから起きて、日が沈んだら休むというのが理想です。無理をせず、体力や津液(体内の水分)を消耗しないようにしましょう。

「腎」を補う食材選びを

黒ゴマや黒豆、黒キクラゲなどの「黒色」の食材海産物や梅干しなどの「塩味」の食材山芋やなめこのような「ぬめり」のある食材は腎を補う食材の代表例なので、意識的に取り入れてみましょう。普段料理などに使う調味料の「塩」も、なるべく精製されていない、ミネラル分が豊富な本物のものを選ぶようにすると良いでしょう。

冷え・血流低下につながる「寒邪」から身を守る

「寒邪」が体内に侵入し、冷えると、風邪をひいたり、手足や関節の痛みを引き起こしてしまうことも。「冷えは万病の元」と古くから言われるように、血流が低下するだけでなく、実際に体温が1度下がると、健康や長寿に欠かすことのできない体内酵素の活性が約50%下がるほか、免疫活性が約30%、さらに代謝も約12%低下するとも言われています。

「体を温める食材」を取り入れる

冬場はなるべく体を冷やさないように、生野菜、お刺身、バナナなどの南国のフルーツ、冷蔵庫でキンキンに冷えた飲料など、体を冷やす性質のある食事を控えましょう

逆に、ニラ、エビ、羊肉、鹿肉、鶏肉、ネギ、ニンニク、生姜、スパイス類などの体を温める「補陽」の食材は、この時期接触的に取り入れると良いでしょう。

漢方では水は体を冷やす性質なので、水分のとり過ぎにも注意が必要です。飲み物として摂取するよりも、鍋やスープなどの料理からの方が、水分も栄養も吸収されやすくなるためオススメです。

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体を外側から温める、「温活」ケアを取り入れる

冷えから身を守るためにも、シャワーで済ませずに湯船に浸かるようにするのはもちろんですが、体の中でも特に冷えやすいお腹・腰、お尻、足首、手首、首まわりを、腹巻やカイロ、ストールなどで温めるように心がけましょう。

ストレッチやヨガなど、ハードすぎない運動を日常に取り入れることも、血流・冷えの改善にはオススメです。

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冬にオススメの漢方薬

体の冷えや足腰のだるさ、排尿トラブルのある「腎陽」不足の方には

「腎陽」には正常な体温を保つ働きがあるあるため、不足すると身体を温める力が弱くなり、冷えや足腰のだるさ、排尿トラブルなどの症状が現れやすくなります。

そのようなタイプの方には「腎陽」を補い、体を温めながら補腎ができる、参茸補血丸(さんじょうほけつがん)や参馬補腎丸(じんばほじんがん)のような「鹿茸(ろくじょう、鹿の角)」製剤や、「八味地黄丸(はちみじおうがん)」などの漢方薬がオススメです。

乾燥やほてりが気になる「腎陰」不足の方には

潤いや栄養作用のある「腎陰」が不足することで、乾燥やほてりなどの症状が現れやすくなります。

そのようなタイプの方には、体を温めるよりも、「腎陰」を補いながら補腎できる、亀鹿仙(きろくせん)や鹿亀霊仙廣(きろくれいせんこう)のような「亀板(きばん、亀の甲羅)」製剤

また、体に潤いを与えるような麦門冬を用いた「生脈散(しょうみゃくさん、麦味参顆粒)」哈士蟆油(はしまゆ、蛙の輸卵管)・銀耳(ぎんじ、白キクラゲ)を用いた「艶麗丹(えんれいたん)」などもオススメです。

血流の悪い「瘀血(おけつ)」の方には

ある一定の場所がずっと痛んだり、温めることで楽になるような痛みを伴う方は、冷えにより血流が低下していることで症状が出ていることが考えられます。

特に手足など末端が冷えやすい方には、血を補いながら血流も改善する、当帰を用いた「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」、「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)」、「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」などの漢方薬。毛細血管の血流を改善する「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」や「丹心方(たんしんほう)」などの漢方薬がオススメです。

また、上半身はほてるけれど、下半身は冷えやすい「冷えのぼせ」のある方には、桂枝を用いた「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」などの漢方薬も向いています。

いかがでしたでしょうか?

寒さにも、風邪やインフルエンザなどの感染症にも負けないように、ぜひ養生生活を心がけていきましょう。

この記事を書いた人
佐々木 貴美
ホリスティック薬剤師。Holistic Life代表。調剤薬局で約7年の臨床経験、自然派薬局の立ち上げ・薬局長、漢方専門薬局での経験を経て、西洋医学だけでなく、中医学やアーユルヴェーダ、自然療法、美容、エシカルなどを融合し、「心と体を本質的に健やかで美しく、幸せに」をテーマにカウンセリング・講演・情報発信・WEBコンテンツ運営・監修などを行う。電子書籍「健康美を手に入れて自分を輝かせるための15の処方箋」著者。デッドスペース×広告のマッチングサービス「MACHISUPE(マチスペ)」PR。

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